2016年1月、新北市新莊區にある「哈克醸酒」(英語名:Hardcore Brewery 以降 ハードコアブルワリー)の紹介です。台湾では法律により台北市内でのブルワリーの設置は許可されないため、全てのブルワリーは台北市以外の都市に立地しています。特に台北を取り囲むドーナツ状の新北市や桃園市には多くのブルワリーがあります。
ハードコアブルワリーの代表、陳銘徳(チェン・ミン・ド)さんは、2011年頃からブルワリーの立ち上げの計画を始めました。当時の台湾には小規模なブルワリーがほとんどなかったことから、友人数名とブルワリーを立ち上げることを考え、2013 年 1月に創立しました。
ハードコアブルワリーの名前の由来は、社長の陳銘徳(チェン・ミン・ド)さんがエレキギターを弾くミュージシャンであることに由来しています。創立メンバーと雑談中、事務所に置いてある楽器を見た友人が「ブルワリーの名前は『ハードコア』にしよう!」と言ったのをきっかけに即決したそうです。
陳さんは現在ビール造りに専念して音楽活動は休止していますが、ブルワリーでは常にメタルやロックなどの音楽が流れています。
ハードコアブルワリーではビールの醸造だけではなく、ビアパブ向けの設備の設計、製造、設置、メンテナンスも手がけています。陳さんは工学部出身ですが、ビアパブ向けの設備に関しては独自に勉強したそうです。
Draft Systemの販売、インストールとメンテナンスがメインで、Draft Tower, Beer Lines, Keg Coupler, Quick Disconnect、それらのパーツやクリーナー、冷却設備も扱っています。
残念ながら、今回の訪問時は設備のメンテナンス中で醸造は行われていませんでしたが、一通り醸造設備を見せてもらいました。「糖化槽」「煮沸槽」「發酵槽」「熱水槽」など、各タンクには漢字で役割が表示されているので、日本人には一目瞭然です。
日本人に一目瞭然でも、「清酒槽」は日本酒が入っているわけではありません。これは熟成タンクです。
マッシュ/ロイター と ケトル/ワールプールはそれぞれ 500L 。
現在、ハードコアブルワリーのレギュラービールは次の2種類。台湾人にとっては名前の響きが重要らしく、漢字名、英語名ともビアスタイル名をそのまま使うことなく、ネーミングを工夫しています。
■酒花使徒(Hop Apostle)
アルコール度 5.8% のアメリカンペールエール。 「ホップの伝道師」という意味で、ホップ好きなビアファンのために、アメリカンスタイルによく見られるシトラス系の香りとは別系統のビールを目指しています。今後は IPAにリニューアルしたいらしいです。
■夏景乍現(Suuuuuuummer Slam)
アルコール度 5.8% のへーフェヴァイツェン。小麦と大麦を使用しています。目の前に真夏の景色が広がることをイメージしたネーミングとのことです。炭酸が強めでさっぱりしていて軽い口当たりです。以前はクリスタルヴァイツェンを造っていたが、味わいを豊かにするためにヘーフェヴァイツェンに変えています。
陳さんに「ハードコアブルワリーの今後」について尋ねました。現在提供している定番は「酒花使徒(Hop Apostle・アメリカンペールエール)」「夏景乍現(Suuuuuuummer Slam・ヘーフェヴァイツェン) 」の2種類ですが、こちらに加えて今後は「ベルジャン ストロングエール」と「バーレイワイン」を造りたいとのことです。現在は樽のみで出荷しているため、台湾の店舗でしか飲めませんが、今後はボトルでの出荷も考えたいるそうです。
ビールの醸造にあたっては、特にモデルや目標としているビールはありませんが、、とにかく「高いクオリティのビール造り」を追求しているいるとのこと。「国内メーカーと争うよりも、質の高い輸入品に勝ちたい」と語ってくれました。
ハードコアブルワリーのビールが飲めるお店
■台北
・北義極品
・Something Ales (閉店)
・Kidsorrow
・Spot Taipei
・費尼主廚漢堡
■桃園
・高砂串堂 南崁店
■高雄
・小聲點酒館
■花蓮
・高大俠殼燒蝦
・All Star
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http://magazine.beer365.net/articles/view/57