北台灣麥酒有限公司(以下、北台湾ビール)のブルワリー、北台灣麥酒廠を訪問しました。北台湾ビールは台湾で最も歴史のあるクラフトビールの一つです。場所は台湾の空の玄関口の国際空で知られる港桃園市です。台湾では法律上、ブルワリーも工業地帯に立地しなければならないため、台北市内にはつくれないのです。
台湾では、2002年にWTO(世界貿易機関)への加入にともない、商業的な個人醸造が合法となりました。溫立國(ウンリグォ)さんはそれを機に「これからはクラフトビールの時代」と確信し、2003年10月に北台湾ビールを設立。溫さんのポリシーは、「台湾国産素材で台湾らしいクラフトビールをつくること」だそうです。従業員は4人で、年間醸造量はおおよそ60トン。発酵タンクは2000リットルが 5釜、1000リットルが 2釜稼働しています。
醸造所見学
醸造責任者の段淵傑(ダンユェンジェ)さんの案内でブルワリーの見学。衛生的な環境の中で近代的な設備が稼働していたのが印象的で、工場内には酵母の培養室もあり、酵母の管理もなされていました。
こちらは、出荷準備をしていた「5五 BEER」。北台湾ビールでは多くのコラボビールをてがけていますが、これもそのひとつで、「台北一のおしゃれホテル」ともいわれるWホテル向けに限定醸造されているアメリカンIPAです。
事務所には北台湾ビールで醸造しているビールのボトルがディスプレイされていました。
会社のロゴマークやボトルデザインに猫が使われているのは、オーナーの溫立國さんが猫好きだからだとか。
試飲しました
主なビールを試飲させていただきました。北台湾ビールのラインナップの一部をざっと紹介ます。
「經典(八)」Belgian Dark Strong Ale
まずはベルジャン・スタイルのアビービール、「經典(八)」。「經典」はいわゆる仏教の経典ではなく、「クラシック」という意味です。アルコール度数8%。アビービールらしい複雑でスパイシーなフレーバーです。でも、スパイスは使っていないらしい。
「經典(六)」Belgian Ale
こちらはアルコール度 6%の「經典(六)」。アルコール度数によるネーミングは 「Rochefort」 を彷彿させます。酵母は8%の「經典(八)」と同じものを使用。色は薄く、 SRM 6ぐらい。段さんが最も好きだというビール、「Orval」に通じるものを感じました。
「喜願小麥工藝啤酒」 Belgian White
「喜願小麥工藝啤酒」は喜願小麦50%と大麦50%を使ったベルジャンホワイト。小麦は100%台湾産のものを使用しています。「喜願」というのは台湾の代表的な小麦栽培組織で、食料自給率の向上を目指して活動しています。これは、段さんの自信作だそうです。
「穀雨 (Taiwan Tea ale) 」Belgian-Style Pale Ale
穀雨は副原料に台湾産のウーロン茶を使用したペールエール。実はこのビール、「北台湾ビール」のブランドでは販売されておらず、「啤酒頭 (Taiwan Head Brewers Brewing Company)」として流通しています。「啤酒頭」とは、特定の醸造所を持たない、いわゆるファントムブルワリーで、北台湾ビールはこの設立メンバーです。
まだまだ続きます
今回は 2015年6月の情報に限定していますが、その後も北台湾さんとは親しくしていただき、多くのビールを飲みました。啤酒頭は穀雨に続き、二十四節氣(二十四節気)シリーズとして立夏、夏至、立秋、大暑、立冬、小寒、雨水、清明、小滿、小暑、小雪とリリースしています。これらも全て飲んでいますし、啤酒頭さんも訪問しましたので引き続きこのblogでエントリーしていきます。